430年、休まずに開き続ける。勝浦朝市の歩き方
勝浦朝市には、初めて行く人がまず戸惑うルールがある。月の前半と後半で、開催場所が変わるのだ。
毎月1日から15日は下本町朝市通り、16日から月末は仲本町朝市通り。水曜と元旦を除いて、ほぼ毎日開かれている。時間は6時30分頃から11時頃まで。品数が揃うのは7時から8時頃で、売り切れ次第しまう店もあるため、朝が早いほど良い。
物々交換から始まった市
始まりは天正年間。当時の勝浦領主・植村泰忠が、産業振興のために農産物と海産物を交換する市を開かせたのが起源とされる。430年以上前のことだ。
つまりこの市は、もともと漁師と農民が物を持ち寄って交換する場だった。海のものと山のものが行き交う結節点として始まり、沿海漁業の発展と鉄道の開通を経て活況を呈し、明治期には毎朝開かれるようになった。石川県の輪島、岐阜県の高山と並んで日本三大朝市のひとつに数えられる。
現在も、何代にもわたって同じ場所に店を出し続けている家が少なくない。年間およそ10万人が訪れる観光名所でありながら、根っこは今も市民の台所である。
何が並ぶか
朝採りの野菜、果物、花。魚介と干物。地元の加工品。週末には50から70ほどの露店が並ぶ。10月から3月にかけては、都内では考えられない値段で伊勢エビが出ていることもある。
そして朝市の楽しみは、買うことそのものより、売っている人と話すことにあると言われる。値段の交渉、旬の見立て、食べ方の助言。何度も通ううちに出店者と家族ぐるみの付き合いになる人もいるという。モノを売る場所ではなく、人が出る場所として続いてきた市なのだと思う。
JR勝浦駅から徒歩10分ほど。車なら墨名(となえ)の市営駐車場から徒歩5分。市街地は一方通行が多いので注意したい。