ジンギスカン、ラムチョップ、羊肉のしゃぶしゃぶ。最近はスーパーでもラム肉を見かけるようになったし、専門店も増えた。「ラム肉って美味しいよね」と言える時代になった。
でも、あなたが昨日食べたあのラム肉——どこから来たか、考えたことはあるだろうか。
「北海道のラム」だと思っていた
ジンギスカンといえば北海道。だからなんとなく、日本で食べるラム肉は北海道産だと思っている人が多い。少なくとも、国産がそれなりの割合を占めているはずだと。
でも実際は、日本で消費される羊肉のほぼすべてが輸入品だ。オーストラリア、ニュージーランドが大半を占め、国産の羊肉は全体のわずか1%程度しかない。「え、そうだったの?」と思った人——あなただけじゃない。
「なんで日本で羊を育てないの?」——その疑問の裏側
国産の羊肉がこれほど少ないと知ったとき、多くの人がこう感じるんじゃないだろうか。「需要はあるのに、なんで誰も育てないの?」と。
その気持ちはわかる。でも「育てない」のではない。「育てられない」構造がある。
羊は牛や豚に比べて体が小さく、一頭から取れる肉の量が少ない。その割に手間はかかる。広い放牧地が必要で、飼育期間も短くない。そして何より、輸入品との価格差が大きすぎる。海外から大量に安く入ってくるラム肉と同じ値段では、国産はとても太刀打ちできない。
それでも羊を育て続ける人たちがいる
採算が合わない。効率が悪い。担い手もいない。それでも、北海道を中心に、国産羊肉を守ろうとしている生産者たちがいる。
彼らが育てる羊の肉は、輸入品とは明らかに違う。臭みが少なく、脂に甘みがあり、肉質がきめ細かい。それは、日本の風土で、日本の草を食べて育った羊だからこそ出せる味だ。
でも、その味を知っている人は、まだほんの一握りしかいない。「国産羊肉」という選択肢があること自体を、ほとんどの人が知らないのだ。
99%が海の向こうから来ている。その事実は、裏を返せば、1%を守っている人たちがいるということだ。その1%の存在を知るだけで、ラム肉の見え方は変わる。
「知る」ことが、最初の一歩になる
「国産羊肉を買おう」と、すぐに行動を変える必要はない。値段も違うし、手に入る場所も限られている。でも、次にラム肉を食べるとき、「これはどこから来たんだろう」と一瞬だけ考えてみてほしい。
その小さな想像力が、たぶん、いちばん大切な応援になる。知っている人が一人増えるだけで、国産羊肉が「生き残る理由」がひとつ増える。食べなくてもいい。まず、知ることから始めてみよう。