コンビニのカップ麺コーナーで、ふと目に止まる。「ペヤング 超超超大盛 GIGAMAX」「ペヤング チョコレートやきそば」「ペヤング パクチーMAXやきそば」。——また何かやってるな、と思いながら、つい手に取ってしまう。

あなたも一度くらい、「ペヤング、攻めすぎだろ」と思ったこと、ないだろうか。

「さすがにやりすぎじゃない?」と思うのは、自分だけじゃなかった

ペヤングはこれまでに548種類もの味を世に送り出してきた。548種類だ。普通のメーカーなら、ひとつの看板商品を守り続けるだけで精一杯だろう。なのにペヤングは、毎月のように新しい味を出す。しかも、そのラインナップが尋常じゃない。

チョコレート味、納豆味、ペタマックス(通常の約7.3倍)。誰が買うのか分からないような商品が、堂々とコンビニの棚に並んでいる。「企画会議で止める人、いないの?」——そう思うのは、きっとあなただけじゃない。

ペヤングの変わり種
棚に並ぶペヤングの数々。見るたびに「また新しいのが出てる」と驚かされる

「どうせネタでしょ」——その気持ち、すごくわかる

正直なところ、ペヤングの変わり種を見て「話題作りでしょ」「SNSでバズらせたいだけでしょ」と感じる気持ちは、よくわかる。実際にチョコレート味を食べて「美味しい!」と叫んだ人は、たぶんそんなに多くない。

でも、ちょっと考えてみてほしい。「ネタ」だけで548種類も作れるだろうか。話題性だけを狙って、これほどの数を、何年も続けられるだろうか。——たぶん、無理だ。ここには、ネタでは片付けられない「何か」がある。

止めないのではない。「止めない文化」を作ったのだ

ペヤングを作っているまるか食品は、群馬県に本社を置く中小企業だ。大手食品メーカーのような巨大な組織ではない。だからこそ、企画から商品化までの距離が近い。「面白いかもしれない」というアイデアが、会議室で消えずに工場まで届く。

大企業なら、リスク管理の名のもとに却下されるような企画。マーケティングデータに裏付けがないと通らないような味。でもまるか食品では、「やってみなきゃわからない」が通る。これは経営判断というより、もはや企業文化だ。

548種類の裏側にあるのは、奇をてらう戦略ではなく、「面白いと思ったことを、面白いままに出す」という信念だ。失敗しても、次がある。売れなくても、話題になればいい。そして何より、作っている人たちが楽しんでいる。

「止める人がいない」のではなく、「止めない文化を選んだ」のだ。548種類は、その文化の結晶だと思う。

「遊び心」が許される場所は、実は少ない

私たちの日常を振り返ってみてほしい。仕事でも、学校でも、「失敗するかもしれないこと」にチャレンジするのは、なかなか難しい。効率や合理性が優先され、「面白そうだからやってみよう」が通りにくい世の中だ。

でも、ペヤングはそれを食品でやっている。遊び心を、商品として、棚に並べている。しかも何十年も。その事実は、なんだか少しだけ、元気をもらえないだろうか。

KOTOHAREの視点:548種類。その数字の裏にあるのは、「遊び心を殺さない」という、地方の中小企業の静かな覚悟だ。次にコンビニでペヤングの新商品を見かけたら、「またやってるな」と笑いつつ、少しだけ敬意を込めて手に取ってみてほしい。