定番の裏側 一皿の物語 食の旅日記
お酒のクーリッシュ!クーリッシュ フローズン レモンサワーとグレフルサワー
定番の裏側

"飲むアイス"が、お酒になった。「クーリッ酒」が越えた境界線の話

2026.07.08 ・ 読了 9分 ・ 文:KOTOHARE編集部
🍻飲み会で話したい雑学🏠おうちで楽しむ📖日本の食文化を知る

夏が来た。コンビニの冷凍ケースの前でクーリッシュを一本つかみ、キャップを外して、ずずっと吸い込む——あの「片手で飲むアイス」の記憶を持つ人は、きっと多いと思う。スプーンもいらず、歩きながらでも飲めて、少し溶けたくらいがちょうどいい。あれは夏の携行食だった。

そのクーリッシュが、いつのまにかお酒になっていた。

ロッテが発売した『クーリッシュ フローズン レモンサワー』と『クーリッシュ フローズン グレフルサワー』は、アルコール分5%の、れっきとしたお酒だ。品目は「リキュール」、内容量は140ml、価格はオープンプライス。かつて「飲むアイス」だったクーリッシュが、「食べる酒」へと越境した。いわば、クーリッシュ改め「クーリッ酒」の誕生である。

「飲むアイス」だったクーリッシュを、覚えているか

そもそもクーリッシュとは何だったのか。ロッテが"飲むアイス"クーリッシュを世に出したのは2003年のこと。通常のアイスクリームはマイナス15度、ソフトクリームはマイナス5度で提供されるが、その中間のマイナス8度に着目し、「シェイクのように吸って飲めるアイス」を作った。チアパック(パウチ)容器に詰め、キャップを開ければ、いつでもどこでも片手で飲める。

これは地味に発明だった。アイスは「スプーンで食べるもの」「立ち止まって食べるもの」「溶けたら負けるもの」という常識を、クーリッシュは全部ひっくり返した。溶けても飲めるし、歩きながらでもいい。「食べる」と「飲む」の、ちょうど真ん中を突いた独自ポジション。翌2004年にはパリの国際見本市「世界ヒット商品コンクール」で三冠を獲得している。

正直に言うと、筆者は長らくクーリッシュを「ちょっと変わったアイス」くらいにしか思っていなかった。でも改めて振り返ると、これは「境界を突く」という一貫した思想を持ったブランドだったのだ。そして今回のフローズンサワーは、その"境界を突くDNA"を、そっくりそのまま受け継いでいる。アイスと飲料の間を突いたブランドが、今度はアイスと酒の間を突いてきた。血は争えない。

クーリッシュ フローズン レモンサワー パウチ(アルコール分5%・果汁9%)
レモンサワー(果汁率9%)。「これはお酒です」の表示が、かつての飲むアイスとの決定的な違い
クーリッシュ フローズン グレフルサワー パウチ(アルコール分5%・果汁19%)
グレフルサワー(果汁率19%)。パウチのシルエットは、記憶の中のクーリッシュそのままだ

「アルコールスイーツ」という、新しい棚

この商品がユニークなのは、単なる「暑い日のクールダウン用チューハイ」ではないところにある。ロッテの新領域業務用営業部・山田雄吾氏は、この商品を「お酒とアイスが融合したアルコールスイーツという新カテゴリーの確立を目指す」と語っている。

ここには、発想の順序の逆転がある。ふつう菓子メーカーがお酒を出すと聞けば、「アイス屋さんがついにお酒に手を出した」と受け取ってしまう。でもロッテがやろうとしているのは、たぶんその逆だ。酒に踏み込むのではなく、"アイスで培った技術で、お酒を再発明する"。冷たさの設計、パウチの携帯性、口当たりの微細な調整——アイス屋が半世紀かけて磨いてきた武器を、丸ごと酒に持ち込んでいる。

「お酒」でも「アイス」でもなく、その間にある空白地帯に、新しい棚を作ろうとしている。THE DAYが「缶=酒」の常識を静かに壊しにきた話を以前この連載で書いたけれど、ロッテという会社は、こういう「カテゴリーの隙間」を見つけるのが本当にうまい。

凍った酒を、食べる。という新しい酔い心地

中身の話をしよう。フローズンサワーには、アイスのクーリッシュと同じように微細氷が入っている。だから冷たくて、シャリシャリとした食感がある。公式の言葉を借りれば「冷涼感がスピーディーに体全体に染み渡る、フローズン状態のお酒」だ。

これは「よく冷えた酒」とは似て非なるものだと思う。キンキンに冷やした缶チューハイが「冷たいお酒を飲む」体験だとすれば、こちらは「凍ったお酒を食べる」体験に近い。喉を通る前に、まず口の中で溶けていく。その分だけ、冷たさの持続が長い。40度に迫るようになった日本の夏に対する、ひとつの実直な回答のようにも見える。

ちなみにパウチには「これは冷凍酒です。一度溶けたものを再び凍らせると品質が変わります」という注意書きがある。溶けても飲めたアイスのクーリッシュとは、そこだけは作法が違う。凍った状態でこそ本領を発揮する、という一点において、これはやはりアイスの子どもなのだ。

なぜ、缶でもボトルでもなく「パウチ」なのか

容器がパウチであることにも、ちゃんと意味がある。公式によれば、パウチ型容器は「こぼれにくく、リキャップができ、持ち運びに便利」で、そのまま直接飲むことができる。缶でもボトルでもペットボトルでもない、この容器選択が効いている。

キャップを閉められる、ということは「一気に飲みきらなくていい」ということだ。グラスに注ぐ必要もない。ということは、飲む場所が一気に広がる。テーブルのある居酒屋やおうちだけでなく、屋外でも、移動中でも、片手がふさがっていても飲める。パウチは、飲む場所を解放する容器なのだ。ここでもまた、「片手で飲めるアイス」のDNAがそのまま生きている。

売られる場所が、この商品の物語を語っている

個人的にいちばん唸ったのが、売り場の選び方だ。この商品、どこで買えるのかを見ていくと、戦略がくっきり見えてくる。

まず野球場。ZOZOマリンスタジアムとMAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島で、しかも立ち売り・売り子による限定販売。それから音楽フェス「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2026」、カラオケチェーン、スパリゾートハワイアンズをはじめとするレジャー施設。さらにAmazon・ロッテ公式楽天市場店・公式オンラインショップ・Yahoo!ショッピング店といったECと、カタログギフト。

並べてみると、共通点がわかる。これらはすべて「心が躍っている瞬間」の場所だ。ひいきのチームを応援している時間、好きなバンドの音が鳴っている時間、温泉やプールではしゃいでいる時間。スーパーやコンビニの棚で日用品として買わせるのではなく、"体験の現場"で手渡す。売り場そのものが、この商品のコンセプトを語っている。

お酒のクーリッシュ!おすすめポイント——ウォッカベースのAlc.5%、フローズン状態のお酒、パウチ容器
おすすめポイントは「ウォッカベースの本格的な味わい」「フローズン状態のお酒」「パウチでどこでもCOOLに」の3つ

じつはこの売り場は、いきなり降ってきたものではない。ロッテは2022年からテスト販売を続けてきた。屋外の野球場などで観戦客に売るうちに、「この冷たさが最高」「こんな商品を待っていた」という声が集まり、それが本格発売の原動力になったという。棚の理屈ではなく、現場の歓声から生まれた商品なのだ。

果実の苦みと、「自由なアレンジ」という遊び

味づくりも本格的だ。レモンサワー(果汁率9%)もグレフルサワー(果汁率19%)も、果肉・果皮をすりつぶした「コミュニテッド」素材を使っている。だから甘いだけでなく、ちゃんと苦みがある。フルーツを丸ごとかじったときの、あの奥行きだ。パッケージには「ウォッカベース」の表示もあり、飲み口は甘くても中身は本格派、というギャップがこの商品の芯になっている。

そして、ここがいちばんアイスらしいところなのだけれど、ロッテは公式に"アレンジ"を提案している。梅酒を注げばレモンサワーがカクテル風に、カンパリを合わせればグレフルサワーが大人の一杯に。アセロラドリンクを足したレモンサワーや、オレンジジュースを合わせたグレフルサワーは、まるでクリームソーダのようなフロート風になる。

「凍ったお酒に、好きなものを注いで、自分好みに崩す」。この遊び方は、どう考えてもアイスの発想だ。決まった正解を飲まされるのではなく、自分で味を作れる。アイスが持っていた"自由さ"と、お酒が持っている"楽しみ方"が、パウチの中でひとつに溶け合っている。

お酒を楽しむ前に。『クーリッシュ フローズン』はアルコール分5%のお酒(リキュール)です。飲酒は20歳になってから。飲酒運転は絶対にやめましょう。お酒は楽しく適量で。妊娠中・授乳期の飲酒はやめましょう。お子様の手の届くところに置かないでください。また「これは冷凍酒です。一度溶けたものを再び凍らせると品質が変わります」。凍った状態でお楽しみください。
KOTOHAREの視点:『クーリッシュ フローズンサワー』の面白さは、「菓子メーカーが酒を出した」という表層ではなく、「アイスの技術で酒を再発明した」という深層にある。マイナス8度・微細氷・パウチ・片手——2003年の"飲むアイス"が磨いた武器が、そっくりそのまま"食べる酒"に受け継がれている。売り場を「体験の現場」に絞り、アレンジで遊ばせる設計まで含めて、これは一貫して「境界を突く」ブランドの最新形だ。アイスと酒の間には、これまで誰も本気で渡ろうとしなかった境界線があった。

アイスと酒の間には、これまで誰も本気で渡ろうとしなかった境界線があった。クーリッシュはその線を、シャリシャリと軽やかに越えていく。今年の夏、球場のスタンドやフェスの芝生で"心躍る冷涼体験"を一度味わってしまったら、もう後戻りできないかもしれない。——ただし、その一線を越えるのは20歳になってから。楽しく、適量で。

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この記事を書いた人

KOTOHARE編集部

30代・食いしん坊の編集部員。コンビニの新商品から町の老舗まで、うまいものなら何でも食べる雑食派。今夜の晩酌のつまみを考えるのが日課です。

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